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ガラスの動物園 (新潮文庫)

ガラスの動物園 (新潮文庫)

テネシー ウィリアムズ 著
小田島 雄志 翻訳

定価:¥ 460 価格:¥ 460
新潮社
おすすめ度

劇ではなくまず原作を読んで欲しい名作

テネシー・ウイリアムズを一躍有名にした本作は色々な劇団によって演じられているそうですが劇という演出家の観念で作った物を見る前に是非とも原作を読んでイマジネーションを広げて欲しいと思いました。
語り手であるトム、過去の栄光が忘れられない母アマンダ、ガラスのように繊細な心の持ち主である姉ローラ。
作者が一番訴えたかったのはローラの人生なんだと思います。
繊細すぎ、傷つきやすいがために人生とうまく折り合いをつけられない姉。
姉の日常においてできることは彼女のコレクションのガラスの動物たちを世話することと、古い1枚のレコードを聞くこと。
ガラスの動物たちは彼女の心の反映であり、小さくて壊れやすいのです。
それは作者の実在する姉であるローズがモデルであることは明かです。
両親にロボトミー手術を受けさせられ、廃人になってしまった姉。
それを止められなかった作者は終生悔恨の情に溺れ、名声とは裏腹に私生活は荒れていたと言います。
そんな作者の魂の吐露が切実なまでに我々に訴えてきます。

生きている

誰の胸にも、家族という重いしこりが居座っている。その急所をテネシー・ウィリアムズが直撃する。読み出したら止まらない。
過去の栄華を誇り、現実を否認し続ける母・アマンダ、足が不自由で極端に内気で婚期を逃した姉・ローラ、文学を愛しながらも倉庫係の職にしか就けない弟・トム――3人の運命から眼を離すことができない。三人は、わたしたちの心の中で生きている。彼らを笑える人は一人もいない。ラストシーンは悲しくて、泣ける。

正気をうしなった姉の面影を追い続けたテネシー

テネシー・ウィリアムズの作品に登場する女性たちはいつも同じ。あまりに繊細すぎるがゆえに、現実に適応する能力を持たない女たちだ。
ガラス細工のように繊細で不器用なローラは、テネシー自身の姉(実際に精神異常者となる)をモデルにしたものだ。
テネシーは姉を見捨てた自分を生涯、悔やんでいたと聞く。叙情的な美しさ哀しさが、全編にみなぎっている名作である。

リリシズムあふれる自伝的な作品

 テネシー・ウィリアムズほど米南部の伝統と悲しみを切実に描き出した劇作家はいないように思う。南北戦争に敗れた「負け組」の南部の出身であることに彼は生涯こだわり続けた。
 彼の名声を一挙に高めた本作がいまだに世界各地で上演され、愛されているのはやはり登場人物たちの魅力によるものだろう。特にアマンダとローラは彼の母と姉がモデルであるだけに、鮮やかな実在感に満ちていていつまでも読者の心に生き続ける。
 南部婦人の誇りと生活力を備えたアマンダと、ガラスのように繊細で現実に適応できないローラ。そして二人を愛しながらも批判的に見るトム。トムの最後の独白が感動的なのは、生きてゆくためにはある意味非情さが必要だと知りながら、デリケートな姉に深く共感せざるを得ない作者のジレンマと悲しみが私達の問題でもあるからだろう。どこにでもあるような家族の物語が、セリフの一つ一つによって静かな光を放ち、普遍性を帯びる。テネシー・ウィリアムズの原点というべき作品だ。

命を吹き込まれた作中人物たち

 いままで、食わず嫌いで、戯曲を読んだことがなかった。
ある時、本作品が原作の映画(ポール・ニューマン監督)をたまたま観た。
感動してしまい、早速、本書を購入して読んだ。原作も素晴らしかった。
 登場人物はみな、身近な人を思いやり、それぞれの理想や拠り所を持っている。

しかし、その一方で、登場人物それぞれの、事情や、自分にとってであれ、身近な人にとってであれ、よかれと思うことにずれがあり、
そこから悲劇が生まれる。
 内容はもちろん、本作品で素晴らしいのは、登場人物が生きていて、身近に存在する人のように思われ、
そのやさしさ、苦しみが直に伝わってくることだ。

テネシー・ウィリアムズの作品の登場人物ほど命を吹き込まれた作中の人物を、寡聞にして私は!!知らない。
本当に出会えてよかったと思える一冊。

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